サムネイル

美食の街リヨンを暮らすように旅する。現地在住者が案内するグルメと穴場スポット

更新日:2026/10/30

はじめまして。フランス・リヨン在住のKoyomiです。この度、現地在住MUSEとして、tabimuseで記事を書かせていただくことになりました。ワーキングホリデーでこの街に暮らしながら、リヨンの食と歴史を少しずつ辿っています。

ヨーロッパや世界の食通から、Capitale mondiale de la gastronomie(世界の美食の首都)と呼ばれる街、リヨン。パリに次ぐフランス第二の都市でありながら、街を歩いていてアジア系の観光客を見かけることは、ほとんどありません。

今回は、リヨンへ初めて訪れる友人を必ず案内している、半日のコースをご紹介します。

01なぜリヨンが「世界の美食の首都」と呼ばれるのか

まずは、地理的な背景から。

リヨン料理は、南の地中海やプロヴァンスから野菜やオリーブオイルを、北のロレーヌやアルザスからバターや生クリームを受け取りながら、この街独自の形になりました。地産地消が盛んなフランスのなかでも、リヨンの伝統料理には地域の食材がふんだんに使われています。

北・東エリアからは、最高級地鶏のブレス鶏、上質なシャロレー牛、名産ワインのボジョレーとローヌ、郷土料理クネルのナンチュアソースに使われるナンチュアエビ。南・西エリアからは、新鮮な野菜やフルーツ、豚の加工食品であるシャルキュトリー、チーズのサン・フェリシアンやサン・マルセラン。一流の食材が、東西南北から一堂に集まります。

そして、そんなリヨンで活躍した2人のシェフが、メール・ブラジエとポール・ボキューズです。ブラジエはミシュラン史上はじめて3つ星を獲得した女性シェフで、自身の開いた2店舗で同時に3つ星を獲得するという偉業も成し遂げました。

その彼女のもとで修行をしていたのが、「現代フランス料理の父」と呼ばれる巨匠ボキューズ。東京にも姉妹店があるので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。リヨンにある本店は、55年間3つ星を守り続けたという記録を持っています。

2人の偉大なシェフや、この土地に惹かれて、今も若手のシェフやパティシエが多く集まります。大きくはない街に、星付きレストランが常に10数店舗。ビブグルマンやゴ・エ・ミヨも合わせると、住んでいてもなかなか行ききれない数になります。

食に関わる多くの人と、土地の力。リヨンは今も「世界の美食の首都」として、訪れる人を迎えています。

02在住者が友人を連れていくブション

リヨンで暮らす私が、実際に友人と訪れるブションをご紹介します。ブションとは、リヨンの伝統料理を食べられるビストロの名称です。

Le Comptoir du Bœuf

赤いテントと、テラス席の赤いテーブルとイスが目印です。店内は、アール・ヌーヴォーを思わせる内装。10年以上前からゴ・エ・ミヨのセレクション(ミシュランでいうビブグルマン)に選ばれ続けた実績もあり、味に定評があります。観光客だけでなく、地元の常連客も多く見かけます。

私のお気に入りは、フレンチの定番である牛肉のタルタルと、牛肉と野菜を赤ワインでじっくり煮込んだ濃厚なビーフシチュー、ブフブルギニョンです。

INFORMATION

Le Comptoir du Bœuf

住所:3 Pl. Neuve Saint-Jean, 69005 Lyon
営業時間:ランチ 12:00〜14:00/ディナー 19:00〜22:00(L.O.)
Website:https://comptoirduboeuf.fr/fr

PraLyon

ヴュー・リヨン駅から旧市街のメイン通りを進むと、小さな広場に出ます。赤と緑のテントが隣り合っているのが目印です。木造の内装で、テーブルには赤と白のチェックのクロス。温かみのある雰囲気です。

ブションには珍しく、ランチとディナーの間に店を閉めないので、少し遅めのランチや、早めのディナーにも向いています。私は鴨の胸肉が大好きなのですが、こちらの鴨胸肉は焼き加減もソースも本当においしいです。

INFORMATION

PraLyon

住所:10 Rue Saint-Jean, 69005 Lyon
営業時間:11:00〜22:00(L.O.)
Website:https://bouchon-lyonnais-pralyon.com/fr

ブションではどのお店も、アラカルトの単品と「メニュー」と呼ばれるセットメニューが用意されています。フランス全体で見てもリーズナブルで、味もボリュームも十分です。量が多いと感じたら持ち帰らせてくれるお店も多いので、気軽に店員さんに聞いてみてください。

時期にもよりますが、ほとんどのブションが12時オープン、14時ラストオーダー。朝の活動開始時間によっては、先に丘の上の大聖堂を巡るのもいいかもしれません。

03ブションで必ず頼みたいリヨンの5皿

リヨンで食事をするなら、旧市街に数多く建ち並ぶブションで、伝統料理をぜひ味わってみてください。ここでは、ブションで楽しめるリヨンの伝統料理を少しご紹介します。

サラダリヨネーズ(Salade lyonnaise)

ポーチドエッグ、クルトン、ベーコンが入り、マスタードとビネガーのドレッシングで食べる、定番のサラダです。

クネル(Quenelle)

白身魚のすり身に卵と小麦粉を合わせて、オーブンでしっとり焼き上げます。エビのバタークリームソースと合わせて食べる一皿。英語のガイドさんはスフレケーキと表現していましたが、日本人としては、かまぼこのしっとりさのほうが近い気がしています。

アンドウィエット(Andouillette)

仔牛の胃袋や腸を、マスタードでマリネして焼き上げたものです。一般的なフランスのアンドウィエットは豚を使いますが、リヨンは仔牛を使うのでクセが少なく、はじめての方にも試しやすい一皿。ホルモンが好きな方にはおすすめです。

セルヴェルドカヌ(Cervelle de canut)

直訳すると「絹織物職人(カニュ)の脳みそ」。インパクトのある名前ですが、19世紀に高級食材だった子羊の脳みそに憧れた職人たちが、代用品として作ったのが始まりだそうです。

フロマージュブランに、刻んだエシャロットやハーブ、ビネガーなどを混ぜ合わせたチーズディップ。前菜としても、食後のチーズとしても、地元のボジョレーワインと合わせるのが定番です。

プラリーヌタルト(Tarte à la praline)

リヨン名物のプラリネローズをふんだんに使った、赤やピンクのタルトです。プラリネはナッツを砂糖でコーティングしたお菓子ですが、リヨンのプラリネはピンク色(rose)のお菓子として名物になりました。甘いものが好きな方は、ぜひ。

04食のあいだに寄りたい、旧市街とトラブール

旧市街の入り口となるヴュー・リヨン駅を出ると、まず左手に見えるのが、ゴシックとロマネスクが混ざった重厚な外観のサン・ジャン大聖堂。目の前の広場では、週末になるとイベントや市場が開かれます。リヨン市民にとっても、馴染み深い場所です。

大聖堂を右手に見ながら進むと、一気に旧市街らしい雰囲気が広がります。石畳の小道にカラフルな建物、立ち並ぶブションに、特産品を扱うお土産屋さん。

15世紀頃から絹織物貿易で栄えた街で、このとき商人たちが使っていたトラブールという秘密の通り道が、今も住人のいる建物にそのまま残っています。

絹織物が雨や雪で濡れないよう、建物の中を通って別の通りへ抜ける仕組み。そのため、天井が高めに作られています。

旧市街を歩いていると、お店でもない普通の扉に人々が吸い込まれていくのを目にすると思いますが、それは十中八九トラブールです。現地の住民も、道のショートカットに使っています。ぜひ、通り抜けてみてください。

INFORMATION

トラブール

開放時間:8:00頃〜夕方

05丘の上へ。大聖堂とローマ劇場跡

ヴュー・リヨン駅へ戻り、フニキュラというケーブルカーに乗ります。メトロやバスと同じチケットで乗れるので、良心的な価格です。

INFORMATION

フニキュラ(ケーブルカー)

1回券 2.30€:1時間以内ならメトロ・トラム・バスと乗り換え自由
24時間券 7.20€:1日4回以上乗る方向け1回券 2.30€:1時間以内ならメトロ・トラム・バスと乗り換え自由
24時間券 7.20€:1日4回以上乗る方向け

フルヴィエール駅を出ると、目の前にそびえ立つのがフルヴィエール大聖堂(Basilique Notre-Dame de Fourvière)。今年で、完成から130年を迎えます。

フランス国内に残る大聖堂と比べると歴史が浅く見えますが、理由があります。入口を正面に右手へ進むと、1168年から残る小さな礼拝堂。参拝者が増えすぎて入りきらなくなり、新しく大聖堂を建てることが決まったのが、およそ150年前のことでした。

中に足を踏み入れると、まず圧倒されるのは、爽やかな青とゴールドで統一されたモザイクと装飾。この美しい青は、セレステブルー(天空の青)という名前だそうです。

大聖堂を飾るのは、6枚の大きなモザイク画。目を惹くのは、船を漕ぐ人々の1枚(レパントの海戦)と、馬に乗った少女の1枚(ジャンヌダルクの人生)。どの大聖堂でも聖書の場面を描いたものが多いなか、歴史的場面のモザイクは珍しく、見どころです。

大聖堂を出て右側へ進むと、リヨンの街を一望できるテラスエリア。カフェテリアとギフトショップ、無料のお手洗いもあるので、ここで一度休憩を挟むのもいいと思います。

大聖堂を出て、左の道へ進むこと3分ほど。ローマ帝国時代に劇場として使われていた遺跡(Théâtre Gallo-Romain)の上へと辿り着きます。階段を降りて左にある資料館(Gallo-Roman Museum of Lyon-Fourvière)に入ると、展示や解説でより楽しめます。

2000年以上前、リヨンはガリア地方(フランスと周辺諸国を含むエリア)の首都として、ローマ人によって発展させられた歴史があります。劇場の大きさに目を見張りながら客席に腰をかけ、当時のローマ人が見た景色に思いを馳せます。ふと、ここが丘の上であることに気づくと、ローマ帝国の力を感じずにはいられません。

おすすめは、劇場を降りて奥に進むと出会う、オデオンと呼ばれる小劇場。注目してほしいのは、黄色・ピンク・緑など、カラフルに床を彩る大理石です。色ごとにトルコ、ギリシャ、エジプト、チュニジアなどから、地中海航路ではるばる運ばれてきたそうです。

毎年6月から7月の約2ヶ月、この舞台と客席を使って『フルヴィエールの夜』(Les Nuits de Fourvière)というフェスティバルが開かれます。予約必須なので、この時期に訪れる方はぜひチェックしてみてください。

06地元の人しかいない、リヨンを一望する庭園

劇場遺跡から歩くこと12分ほど。目的地であるキュリオシテ庭園の入り口は、道の突き当たりにあります。鉄格子状の扉をくぐると見えてくるのは、リヨンの街並みを鮮やかに彩る、赤い屋根たち。

突き当たりまで進めば視界を遮るものが何もなく、街並みに吸い込まれるような感覚になる眺めです。

旧市街から坂道を登って来ることもできるので、私のお気に入りの休憩スポットでもあります。いつ来ても地元の人たちしかおらず、本を読んだり、テイクアウトしてきたものを食べたり、友達と話したり、離れた場所に住む家族と電話をしたり。みんなのんびりと、この景色とともに思い思いの時間を過ごしています。

個人的には、大聖堂横のテラスエリアよりも、おすすめのビュースポットです。

07おわりに

今回ご案内したのは、食事の時間を1〜2時間とっても、5時間あればゆっくり回れるコースです。

リヨンに来られる際はぜひ参考にしていただいて、のんびりとこの街を楽しんでいただけたら嬉しいです。

MUSE

この記事を書いたライターのプロフィール画像
Koyomiトラベルライター

海外旅行の魅力に気づき、8年間で25カ国以上へ渡航。美味しい物と歴史を感じられる場所が大好きです。現在はフランス・リヨンのブションでサービスを担当しています。

VIEW MORE