サムネイル

チーズだけじゃない!スイス在住者が教える、日常のごちそう

更新日:2026/10/16

はじめまして。スイス・ロマンド地方在住のSaenoです。
この度、現地在住MUSEとして、tabimuseで記事を書かせていただくことになりました。
情報だけでは伝わらない、その土地の感覚や空気を、私自身の目線でお届けしています。

「スイスで何を食べるべき?」

知人がスイスを訪れると、必ずといっていいほど聞かれる質問です。

チーズフォンデュにラクレット、チョコレート。スイスを代表する食べものは、もちろんどれも魅力的です。でも、せっかくなら観光で味わうものだけでなく、普段の暮らしの中で親しまれているものも知ってほしい。

スイスは九州ほどの面積の小さな国ですが、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つの公用語があり、地域によって食文化は少しずつ異なります。また山や湖、そして隣国からの影響も、日々の食卓に表れています。

この記事では、私が暮らしてきたフランス語圏のヴォー州とヴァレー州で実際に食べたものや、スーパーで見つけたものを中心に、スイスの日常にある食の魅力を紹介します。

01スーパーに並ぶ、スイスの日常食

今回は自宅近くのスーパーマーケットCoopを散策してみました。

まずご紹介したいのが、Tresse au beurre(トレース・オ・ブール)。ドイツ語圏ではZopf(ツォップ)と呼ばれる、編み込み模様が特徴のバター風味のパンです。

朝食などで親しまれ、サンドイッチとしてや、バターやジャム、Cenovis(セノビス)などを塗ったりします。

セノビスとは、ビール酵母をベースにしたスイス生まれのペースト。塩気とうま味のある独特の風味で、バターと一緒にパンやクラッカーに薄く塗って楽しみます。初めて食べる人には少し意外な味かもしれませんが、スイスではおなじみの商品です。

ほかに、パン売り場で気になるのが、Laugenbrötli(ラウゲンブレートリ)。プレッツェルと同じようなラウゲン生地で作られたパンで、表面は香ばしく中はもっちり。パン屋さんやカフェで、サンドイッチとしてよく見かけます。ドイツ語圏との文化的なつながりを感じるパンです。

そして、じゃがいもの売り場で気になるのがRaclette(ラクレット)という表示。スイスでは料理に合わせてじゃがいもの品種を選ぶこともあり、日常の食卓に欠かせない食材です。

ラクレットとは、茹でたじゃがいもに溶かしたラクレットチーズを絡めて食べる料理。冬には家庭でもレストランでも楽しまれています。

飲料では、アルプスのハーブを使ったハーブティーも並びます。山の植物を使ったブレンドを気軽に選べるのも、スイスらしいところ。特別な観光土産ではなく、毎日の買い物で出会えるものにも、その土地らしさが詰まっています。

そして、スイスらしい飲みものとして忘れてはいけないのがRivella(リヴェラ)です。特徴は乳清、つまりチーズや乳製品を作る過程で生まれるホエイを使っていること。見た目は普通の微炭酸飲料ですが、どこか乳製品を思わせる独特の風味があります。

「チーズの国」らしさは、チーズそのものだけではなく、こんな飲みものにも表れているのかもしれません。

02じゃがいもとソーセージ。地域で変わる食卓

スイスの食卓を語るうえで欠かせない食材のひとつが、じゃがいもです。

代表的な料理がRösti(ロシュティ)。細切りにしたじゃがいもをフライパンで丸く焼いた料理で、外側はカリッと、中はほくほく。シンプルな材料ながら食べ応えがあります。

家庭料理としても親しまれ、肉料理の付け合わせとしてもよく登場します。

INFORMATION

Le Coucou Montreux

住所:Rte des Monts 31, 1824 Montreux
アクセス:モントルー駅からバスで30分

Website:https://www.coucoumontreux.com/

もうひとつ印象に残っているのが、Berner Platte(ベルナー・プラッテ)。ベルン地方の伝統料理で、茹でたソーセージやベーコン、ザワークラウト、じゃがいもなどを一皿に盛り合わせます。

肉のうま味とザワークラウトの酸味がよく合い、見た目にもボリューム満点。さまざまな食材を一度に楽しめる、スイスらしい豪快な料理です。

一方、私が暮らしてきたフランス語圏のヴォー州では、スーパーでSaucisson vaudois(ソシソン・ヴォドワ)という地域のソーセージを見かけます。地域の名前がついた食品が身近なスーパーに並んでいるのも、スイスの食文化の面白いところです。

同じ国の中でも、言語圏や地域によって食べられているものや料理のスタイルが異なります。じゃがいもやソーセージのような身近な食材からも、スイスの多様な食文化が見えてきます。

INFORMATION

Les Brasseurs

住所:Rue Centrale 4, 1003 Lausanne

Website:https://www.les-brasseurs.ch/site/fr/

03ヴァレー州の、トマトを加えたチーズフォンデュ

現在暮らしているヴァレー州で印象に残っているのが、トマト入りのチーズフォンデュです。

ヴァレー産のラクレットチーズやグリュイエールチーズに、地元の白ワインFendant(ファンダン)とトマトソース、ニンニクを加えて作ります。

一般的なチーズフォンデュよりもトマトの酸味が感じられ、パンだけでなく、小さな茹でじゃがいもにかけて食べるのも特徴です。チーズ、ワイン、じゃがいもという地域の食材が一度に楽しめます。

04焼きメレンゲとダブルクリーム。酪農の国のデザート

そして、スイスの乳製品の豊かさを感じるのが、ダブルクリームと焼きメレンゲのデザートです。

サクサクの大きな焼きメレンゲに、濃厚なダブルクリームとベリーを添えていただきます。メレンゲの甘さとクリームのコクはかなり濃厚ですが、ベリーの酸味が加わることで、最後までおいしく楽しめます。

酪農が盛んなスイスならではの、ミルクの豊かさを感じるデザートです。とくにフリブール州のグリュイエール地方の名物としても知られています。

INFORMATION

Gruyères, Fribourg州(グリュイエール, フリブール)

アクセス:首都ベルンから電車で約1時間20分

05名前はフランス、生まれはジュネーブ。
Café de Paris

もうひとつ、スイスの食文化を知るうえで面白いのが、Café de Paris(カフェ・ド・パリ)というソースをかけた豪快な肉のプレートです。

名前からフランス料理を想像するかもしれませんが、実はこのソースはスイスのジュネーブで生まれたもの。現在も、牛肉のステーキにこのソースを合わせた「Entrecôte Café de Paris(オントルコート・カフェ・ド・パリ)」が知られています。

フランス語圏のスイスらしさを感じる一品ですが、名前の印象と実際の生まれた場所が違うのも面白いところ。隣国の文化と近い距離にありながら、独自の食文化も育んできたスイスらしいエピソードです。

06レマン湖のほとりで味わう、淡水魚のムニエル

スイスといえばアルプスのイメージが強いですが、湖の周辺には魚を楽しむ食文化もあります。

レマン湖沿いで親しまれているのが、Filet de perche(フィレ・ド・ペルシュ)。ペルシュ(英:パーチ/日:スズキ)という淡水魚の小さなフィレを、バターで焼くムニエルやフライにしていただきます。

フライドポテトやサラダを添えることも多く、レストランのテラスで湖を眺めながら味わうのも楽しみのひとつです。

白身で繊細な味わいの魚からは、山の料理とはまた違う、湖の恵みを感じられます。スイスの食文化は、チーズや山の料理だけではないのだと気づかせてくれる一皿です。

INFORMATION

L'Oasis

住所:Quai Grand'Rive 7, 1844 Villeneuve
アクセス:モントルーから電車で10分

Website:https://www.restaurantoasis.ch/

07秋はジビエ、冬は食卓を囲む料理

スイスでは、季節によってレストランのメニューも変わります。

秋に楽しみたいのが、La chasse(ラ・シャス)と呼ばれるジビエ料理です。鹿やイノシシなどの肉料理に、栗や洋梨、季節の野菜などを添えた秋らしい一皿。普段の食卓とは少し違う、季節ならではの楽しみです。

INFORMATION

La Terrasse du Port, restaurant bar à vin

住所:Quais, 1897 Le Bouveret

Website:https://laterrasseduport.ch/

冬には、Fondue chinoise(フォンデュ・シノワーズ)やCharbonnade(シャルボナード)も人気です。

フォンデュ・シノワーズは、薄切り肉を熱いスープにくぐらせて食べる料理。シャルボナードは、炭火や強火のホットプレートで卓上で肉を焼く、焼肉スタイルです。

どちらも複数のマヨネーズソースを用意し、好みの味を見つけながら食べるのが定番。家族や友人が集まって、時間をかけて食卓を囲む冬の楽しみ方です。

スタイルとしては、スイス版しゃぶしゃぶや焼肉のようで、初めてでも親しみやすい料理だと思います。

08食べものから見えてくる、いろいろなスイス

友達にスイスらしいものを紹介しようとスーパーを歩いたことが、食文化に目を向けるきっかけになりました。

パンやソーセージ、じゃがいもといった身近な食材から、山のチーズ、湖の魚、季節のジビエまで。ひとつずつ見ていくと、地域の風土や周辺国とのつながりが見えてきます。

スイスを訪れたら、ぜひ有名なチーズ料理だけでなく、スーパーや地元のレストランにも立ち寄ってみてください。まだ知らないスイスの魅力が隠れているかもしれません。

MUSE

この記事を書いたライターのプロフィール画像
Saenoスイス在住旅ライター

スイスで暮らし、旅する中で出会った風景や文化、その土地ならではの魅力を綴っています。旅の情報だけでなく、旅を通して広がる視野や、新しい気づきも大切にしています。

VIEW MORE